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映画『そして僕は途方に暮れる』感想&ティーチインまとめ

思わず雨の中の渋谷を歩いた。

大澤誉志幸さんの「そして僕は途方に暮れる」を聴きながら。

 

また「裕一くん」がそこにいた。

舞台が蘇ったと思った。 頭の中で記憶がどんどん色づいていく。

昨日のことのように思い出される感覚。

2018年に観た舞台が、また目の前に現れたようだった。

 

そして僕は途方に暮れる グッズ

 

2022年10月のワールドプレミア

年明けの大阪での先行上映会

1月14日の舞台挨拶

半年前の代休を使った日

ラグジュアリーボックスシートで観たレイトショー

友達を招待して観に行った日

1月24日の公開記念舞台挨拶

2月3日のティーチイン

 

今までの人生の中で、同じ映画作品をこんなに繰り返し観たことはない。

 

「この作品が好きか」と聞かれたら。

首を縦には振れないかもしれない。でも、何度も観たくなってしまう。

この感覚って一体何……?

 

※ネタバレを含むので、ご注意ください

映画『そして僕は途方に暮れる』感想&ティーチイン

 

ストーリー

自堕落な日々を過ごすフリーターの菅原裕一は、長年同棲している恋人・里美と、些細なことで言い合いになり、話し合うこともせず家を飛び出してしまう。その夜から、親友、大学時代の先輩や後輩、姉のもとを渡り歩くが、ばつが悪くなるとその場から逃げ出し、ついには、母が1人で暮らす北海道・苫小牧の実家へ辿り着く。だが、母ともなぜか気まずくなり、雪降る街へ。行き場を無くし、途方に暮れる裕一は最果ての地で、思いがけず、かつて家族から逃げていった父と10年ぶりに再会する。「俺の家に来るか?」、父の誘いを受けた裕一は、ついにスマホの電源を切ってすべての人間関係を断つのだが――。 (公式HPより)

happinet-phantom.com

 

とにかく主人公に腹が立ちまくる前半

読んで字の如く、本当に腹が立って仕方ないんですよ……!!!

5年以上付き合って同棲している彼女・里美が作った朝食のサンドイッチにほとんど手をつけず、片付けもしない。 仕事から帰ってきた里美がそれを片付けてる最中に言い放つ「電球変えといてよ」。

浮気相手とヨロシクして帰ってきておいて、コンニャロ!!!!!!と言いたくなるどころか、もう笑いさえ出てくる。なるほど、「逃避型エンタテインメント」ってキャッチフレーズがついてるわけだ。

その後も、親友・伸二のところへ転がり込んでは自分勝手なことをし続ける&言い続ける裕一。「マジこんな奴友達じゃねぇ! とっとと出ていけ! もしくは金払え!」と私が伸二なら言ってますね。

 

本当に情けない主人公に何故か感情移入していく後半

先輩、後輩、実のお姉ちゃん、母、そして……。

次々と逃げていく裕一。そして、その先々で起こる事件。 その裕一の態度を腹立たしく思ってたはずなのに、気づいたら応援してしまっている自分が。

え……なんで? 情けない主人公のさらに上をいく「父」が登場したら、裕一がマトモに思えてきちゃう。この感覚がすごく不思議。別に裕一は何も成長してないのに(笑)。

 

一体どうなる、裕一のラスト

気持ちを入れ替えた(ように見える)裕一が東京に帰ってくる。

かーらーの、ラストがっ……! あまりにも裕一を取り囲むみんなが優しいから、「もしかして舞台と違う結末なのかも!」なんて心をときめかせた自分がバカだった。 そうだった、最後の最後は……。

『そして僕は途方に暮れる』が沁みるエンディングです。

 

三浦監督&中尾明慶さんのティーチイン

2月3日に行われたティーチイン上映。

これを知ると映画をさらに理解できると思うので残しておきます。

 

Q:舞台からカットしたセリフはあるか、どういったシーンか

A:カットしたセリフはたくさんある。撮ったけど編集して切ったところもあり、裕一&里美のラストの話し合いのシーンはぎゅっとタイトにした。「使わないけど」とキャストに伝えた上で、感情を持っていく助走のために何ラリーかしてもらった。 中尾くん「監督は“あのー”とか“えっと…”が多いんですけど、舞台の時は台本にそれはなくて、段々足されていく感じだったんですよ。でも映画ではそれも全部台本に書いてあって。怖えぇええ!ってなりました(笑)」

 

Q:神田駅がハッキリ映っていたのはどうして?

A:駅の脇に繁華街が映っていて絵映えした。それと姉の家は東の方のイメージだから。

 

Q:編集で大変だったところはあるか

A:苫小牧で裕一、里美、伸二が会うシーンは大変だった。雪が降ってきて、撮影時間の半分は「雪待ち」になっちゃって。陽が落ちて暗くなってしまい使えるカットが少なくなってしまった。

 

Q:母が「裕一くん」と呼んだり、裕一が母に敬語を使ったりする親子の距離感が気になった

A:母親と息子の距離感って、結構こんな感じ。

中尾くん「苫小牧での現場に三浦監督のご両親が見にきていて、そこで良いところ見せたくて走り回ってた監督。頑張るあまりすっ転んでました笑! これをどこかで話したいねって藤ヶ谷くんと言ってたんですよ!笑」

 

Q:伸二が好きな映画監督と裕一を重ねて話すシーン、あれはもう里美とやっちゃってる後ですよね!? ドン引きなんですが!?!?

A:中尾くん「あれは…もうやっちゃってますよね!笑 保険かけといたんだと思います。駅前で会った時も“元気だった〜?”とか言って。ずるい奴ですね。僕だったら、駅前で会ったあの流れで正直に言うと思う。その方が楽だから」

 

地方のティーチインでよく聞かれたこと(監督まとめ)

・冒頭で『キネマ旬報』が映るのは、裕一が映画好きだったから

・中盤に出てくる浮気女は裕一の悪夢 ・伸二が住んでいるのは中目黒

・ファミレスで後輩・加藤がスマホで撮影し、ズームしているのはラストシーンの伏線

・姉の家で、畳んだままタオルで拭いていたのは、「広げて拭くような感じじゃない」と藤ヶ谷くんからの提案

・姉から母への仕送りの一部は、宗教に使われていた想定

苫小牧駅で裕一、里美、伸二が鉢合わせするシーン。本当は里美&伸二は裕一の実家へ行くつもりはなかった。

・里美と伸二が行ったホテルは新宿のマリオン(?)

・パスコードの意味は調査中(助監督に確認中とのこと笑)

・舞台の時のパスコードは「2458=ふじがや」だった

 

「好きではない」のに、繰り返し観てしまう

冒頭でも言いましたが、「好きな作品かどうか」と言われたら。

NOと答えるかもしれない。

普段から「THEメルヘン♡ファンタジー☆」を愛している自分には、なかなか理解しづらい内容。 私は無責任に逃げ出す方が怖いので(だって後から怒られるの嫌だもん)、主人公には全く共感できないんだけど(笑)、でも人間ってこういう弱い部分を誰もが持っていて、絶対そこを突かれたくない。それに、現実世界って必ずしも決着つかないこともある。

この作品はそういう曖昧な部分を出していて、今までそういう作品に触れたことがなかった自分にはとても新鮮に映りました。だから何度も、何度も劇場に足を運ぶんだと思います。

確実に、私の中で新たな感情が生まれた作品です。